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[ビジネスニュース]米商務省、為替操作を理由にベトナムへの相殺関税を仮決定、自動車用タイヤが対象(JETRO)
米国商務省は11月4日、ベトナムからのタイヤの輸入について、同国が通貨切り下げを行ったことが補助金の供与に当たるとして、相殺関税を賦課する仮決定を発表した。為替操作に基づく相殺関税の発動は初で、官報公示予定日の11月10日から有効となる。
商務省は2020年4月、1930年関税法に基づく相殺関税の調査に関して、外国政府による為替操作を特定企業への補助金とみなせるよう規則変更を行った(2020年2月7日記事参照)。実際に同規則が適用され、相殺関税が課されるのは今回が初めて。ウィルバー・ロス商務長官は、今回の仮決定を「米国第一の通商アジェンダに向けた重要な一歩」と述べた。これに対して、ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、製造業の競争優位をつくる目的で為替(政策)を活用していない、と反論している(「ブルームバーグ」電子版11月4日)。
相殺関税の対象となるのは、乗用車や小型トラック用の新品ゴム製タイヤ(空気式)で、OEM・交換市場向けの双方が含まれる。相殺関税の適用税率は6.23~10.08%で、調査対象のベトナム企業2社に対してそれぞれ6.23%と10.08%が、それ以外の企業には一律6.77%が賦課される。商務省によると、2019年のベトナムからの乗用車用タイヤの輸入額は4億6,960万ドルに上る。
今回の仮決定後、商務省は2021年3月16日をめどに最終決定を行う。そこで「クロ」認定が出た場合、国際貿易委員会が同年4月30日に最終的な決定を行う。商務省はタイヤの輸入に関して、アンチダンピング税の調査も同時に進めており、ベトナムだけでなく、韓国と台湾、タイを対象に、2020年12月29日に仮決定の発表を予定する。
また、ベトナムに対しては、米国通商代表部(USTR)が同国の為替政策に関する301条調査を開始している(2020年10月9日記事参照)。トランプ大統領の上級政策顧問を務めたケリーアン・ショー弁護士は「為替問題に強硬に出ることは、民主党にとっても長く優先課題だった。バイデン政権が(現在の政策を)踏襲または深化させても驚きでない」と述べる(インサイドUSトレード11月7日)。今回の相殺関税調査を申請したのは、大統領選でジョー・バイデン前副大統領を支持した米国労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)傘下の労働組合で、AFL-CIOはかねて中国やベトナムの為替操作を問題視している。

記事引用:JETRO
11 November 2020
Fact-Link Vietnam